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2022.9.2
パンデミックの影響は、社会のあらゆるセクション、そして私たちの生活のあらゆる側面を揺るがし、まさに広範囲に及んでいます。オフィスや宗教施設が閉鎖され、ギャラリー、劇場、音楽堂も閉鎖されましたが、最近になってようやく再開されつつあります。経済不況を考えると、文化施設やアーティストへのコミッションの予算は深刻な危機に瀕しています。美術館の職員や芸術関係の講師が解雇され、展覧会やレジデンスが延期されるなど、苦難の予測が急速に現実味を帯びてきています。
英国では、アーティストや芸術団体、保存修復師や技術者などの専門家に対して、融資や刺激策の形で政府資金が提供されましたが、取り返しのつかない被害を防ぐには、資金援助の時期が遅すぎたという批判があります。これに対し、イギリスのアーティスト・ユニオンは、政府に対して重要な支援を行うよう請願を開始し、アーティストを支援するための小額の助成金も用意しました。一方、日本では、政府による緊急支援はほとんど行われていません。このため、日本でユニオンを設立し、この困難な時期にアーティストのためのより多くの支援を求めるキャンペーンを行う必要性が浮き彫りになっています。
本講演では、英国におけるアーティスト・アソシエーション「a-n」及び「アーティスト・ユニオン・イングランド」とともに、アーティスト・ユニオンの現状と、art for allによる日本における同様の組織結成に向けた進捗状況について議論しました。 a-nからは、アーティストがどのようにして連帯するかはその国や社会制度、文化的背景などを理解した上で、それに対応した形が望ましいとのコメントがありました。また、アーティスト・ユニオン・イングランドからはイギリスでユニオンを結成する強みの一つは、他の業種のユニオン団体とともに全国ユニオン大会に参加することができ、社会の他の職業ユニオンと連携することもできるということでした。社会におけるアーティストの立場が多様な日本ではどのようなあり方や主張が望ましいのかについても活発な議論が行われました。
Covid-19 and the Artists’ Union: Is this a turning point in Japan?
日時:2020年9月22日(火) 12:00〜13:00(BST)
登壇者:Julie Lomax (a-n The Artists Information Company CEO) /川久保ジョイ(アーティスト、art for all)/Professor Richard Hyman (Industrial Relations at the London School of Economics) /Zita Holbourne(活動家、Artists’ Union England)
イベントページ:https://dajf.org.uk/event/covid-19-and-the-artists-union-is-this-a-turning-point-in-japan