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Arts Initiative Tokyoラウンドテーブル「IN AND OUT OF THE SCENE - アーティスト・イン・レジデンス」参加レポート 2021/03

Text by art for all

参加イベント

2021.3.22

「移動」をテーマに、art for all から村上華子さん、白川昌生さん、札幌の天神山アートスタジオから小田井真美さん、東北のKESSEN AIR からは日沼禎子さん、京都芸術センターの勝治真美さん、そしてオブザーバーにAIRリサーチャーの菅野幸子さんとICA京都の石井潤一郎さんを迎え、ZOOMで話し合いました。

まずは村上さんから、自分は10年前に日本を出てフランスへ移住し作家活動をしている経験から、移動して生活をしていくその場所で出会った人、また出来事が作品へうまく繋がっていく場所が、アーティストにとって最適な場所ではないだろうかという話が出ました。札幌の小田井さんからは、家族同伴の滞在、それなりの長期間、また作品制作がそこで必須のものとして求められるのかなど、滞在条件により柔軟な設定がなされる、そういうことが求められる時期に来ているという話が出ました。また震災後に陸前高田にできたKESES AIRの日沼さんは、アート活動と生活を切り離すのではない、むしろ生活がともに行われるような場所であることが、レジデンスの条件に求められてきているという話をされました。群馬にいる白川さんは、かつて標高1200mの草津温泉のある山奥で経験した出来事を話しました。草津の山奥の小さな山村の人が、ドイツのツォルフェライン炭鉱にまで出稼ぎに行っていたこと、地域が世界とつながる回路を持っていることなど、場所の人の歴史を掘り起こすと「移動」の大きな流れも見えてくることなどが話されました。

その後、レジデンスに家族とともに滞在できる可能性や、また人によってはペットも同伴で来るので、そうしたことの可能性、レジデンスが、単に滞在して作品を作る場所ではなく、そこでまた違った環境での生活をしてもらうこと、それが作品になるかもしれないし、ならないかもしれない、「移動」して滞在すること、そこで制作することとはなんだろうかという根本的なことが様々に話し合われました。

Arts Initiative Tokyoラウンドテーブル「IN AND OUT OF THE SCENE – アーティスト・イン・レジデンス」

日時:2021年3月22日(月)
スピーカー:小田井真美氏(さっぽろ天神山アート スタジオ)/日沼禎子氏(KESEN AIR)/勝冶真美氏(京都芸術センター)/村上華子(アーティスト、art for all)/白川昌生(アーティスト、art for all)
オブザーバー:菅野幸子氏(AIRリサーチャー)、石井潤一郎氏(ICA京都)

イベントページ:https://www.a-i-t.net/blog/p5801/

 

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アートワーカーのネットワーク
art for all は、主に美術分野の関係者からなるプラットフォームである。2020年のコロナ禍において、美術業界が自粛し、展示の機会や制作の環境が著しく変化し、文化的・芸術的営みが閉ざされていく危機に対して、芸術分野の生態系を損なわずに、さらなる活力がもたらされることを目指し活動を開始した。2020年6月に約500人の美術関係者のオンライン会議を開催し、美術に携わる人々の声が、国の文化芸術政策の決定プロセスへ反映されることを求め、「美術に関わる人々への幅広い緊急支援」についての要請書を、4,710名の賛同署名とともに、関連各省庁に提出した。美術は人間に不可欠な創造的活動であり、建築、音楽、演劇、映画、ダンス、そして文学などの芸術分野と相互に影響し合いながら、多様な表現形態を生み出している。作品制作から、展示や設営、流通や販売、教育、地域コミュニティーで活動する人々、美術を学ぶ学生たち、そして多くの鑑賞者まで、美術の創造活動は様々な担い手に支えられ、その多層性を持つ領域は芸術分野という大きな生態系の一部を形成している。他方で美術分野は、ボランティアやフリーランス、アルバイトを含む零細な有期雇用労働者の多くに支えられており、経済基盤は不安定である。美術分野の人的基盤が脆弱であり、弱い立場に置かれていることが少なくない。こうした現状を認識した上で、私たちは、すべての文化的・芸術的な営みの一つひとつが尊重され、更なる美術分野の活性化が進むことを目指し、美術分野の担い手に関わる様々な問題についての、啓発や調査、対話や支援などの活動を行っている。